「火災保険」なのに水害もカバーしてくれるって知ってた?

火災保険と水害をテーマにしたアイキャッチ画像 暮らし

最近、ニュースで「線状降水帯」とか「記録的短時間大雨情報」みたいな言葉を聞かない月がない気がする。毎年どこかで川が氾濫して、床上浸水した家の様子がSNSに流れてくる。あれを見るたびに思うんだけど、「火災保険」ってつくづく名前で損してる保険だなと。

火事のための保険でしょ、って思ってる人、たぶんめちゃくちゃ多い。実際、契約したときに「水災」も含まれているのか自分の証券を確認したことがない人、周りにも結構いる。でも実は、多くの火災保険には最初から「水災補償」というオプション(またはセットで標準装備)がついていて、台風や豪雨による床上浸水、土砂崩れ、給排水設備の破損なんかも補償対象になっていることが多い。名前が「火災保険」だから油断してるだけで、中身は火事専用じゃないケースがけっこうある、というのが今日の話。

豪雨で街や住宅が浸水するイメージイラスト
豪雨で街が浸水するイメージ
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「水災」で補償されるのはどんなケース?

もう少し具体的にイメージがわくように書いてみる。多くの火災保険で「水災」として扱われるのは、だいたいこんなケース。

  • 台風や豪雨で近くの川が氾濫し、家の中に水が入ってきた(洪水)
  • 大雨で下水道やマンホールの排水が追いつかず、床上まで水があふれてきた(内水氾濫)
  • 高潮で沿岸部の住宅が浸水した
  • 裏山や近くの斜面が崩れて家が損壊した、または土砂が流れ込んだ(土砂崩れ)

そして「どこからが補償対象になるか」の目安としてよく使われているのが、床上浸水かどうか、あるいは地盤面(建物の基礎まわりの地面の高さ)から45cmを超える浸水かどうか、というライン。逆に言うと、水は入ったけど床下にとどまっていて、この目安に届いていない場合は「損害はあったけど水災補償の対象外」と判断されることもあるらしい。

損害の程度についても、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」のように、被害の大きさに応じて支払われる保険金の割合が段階的に変わる、という考え方を採用している商品が多い。浸水した深さや、建物・家財の被害額が占める割合によって、実際に受け取れる金額のイメージが変わってくる、という感じ。

下の図はあくまでイメージだけど、「床下」か「床上」か、45cmを超えているかどうかが、対象になるかならないかの分かれ目としてよく語られるポイント。

床下浸水と床上浸水で水災補償の対象になりやすさが異なることを示す図解
水災補償の対象になりやすいライン(イメージ図)

ただ、この45cmという数字や損害区分の細かい線引きは、保険会社や商品、契約した時期によって違うので、あくまで「よくある目安」として捉えてほしい。自分の契約がどうなっているかは、最終的には証券や約款で確認するのが一番確実。

火災保険と地震保険の違いでよく混乱するやつ

ここでよく混同されがちなのが、地震保険との違い。豪雨による土砂崩れは火災保険(水災補償)の対象になり得るけど、地震がきっかけで起きた津波や土砂崩れは地震保険の管轄になる、というのが一般的な整理らしい。同じ「土砂に家が飲まれる」でも、原因が台風なのか地震なのかで補償の窓口がまるっと変わってくるというのは、意外と知られていない気がする。

しかも地震保険は火災保険とセットでしか入れない仕組みになっている。つまり「地震のときも水害のときも安心」にしたいなら、火災保険+水災補償+地震保険、という組み合わせを意識する必要がある。逆に言うと、火災保険にだけ入って安心しきっていると、原因が地震だった場合はカバーされない、という抜け漏れが起きやすい。

賃貸でも関係ある話

これ、持ち家の人だけの話だと思われがちだけど、賃貸に住んでいる人が入る「家財保険」にも水災補償が付いていることが多い。建物自体は大家さんの保険でカバーされるけど、浸水で自分の家電や家具、布団なんかがダメになった場合は、入居者側の家財保険の水災補償が効いてくる場合がある。1階に住んでいる人や、半地下・地下の部屋に住んでいる人は、意外とこの部分の確認をしていないことが多い印象がある。

賃貸だと「自分の保険」って感覚が薄れがちだけど、火災保険(家財保険)は契約時にちゃんと自分名義で入っているはず。契約書、意外とどこかに眠っているかもしれない。

「うちは大丈夫」と思ってる人ほど見直したほうがいいかも

ハザードマップで浸水想定区域に入っていなくても、近年の豪雨は「想定外」を平気で更新してくる。内水氾濫(下水道やマンホールの排水が追いつかず、道路や住宅に水があふれてくるパターン)は、川から離れた場所でも起こり得るし、実際そういう被害のニュースも増えている印象がある。ハザードマップはあくまである時点の想定であって、絶対の保証ではない、というのも頭に入れておいたほうがいいかもしれない。

だから「うちは川から遠いから水災補償はいらない」と外してしまうのは、正直ちょっと怖い判断だと思う。もちろん水災補償を付けると保険料は上がるので、立地や予算とのバランスもあって一概に「絶対つけるべき」とは言わないけど、少なくとも一度、自分の契約に水災補償が入っているかどうか、入っていない場合は付けるといくら変わるのかは、確認しておいて損はないはず。

保険料も「立地」で変わってきている

ここ数年、火災保険の水災補償にまつわる保険料の決まり方が、じわじわ変わってきているらしい。以前は全国一律に近い感覚だったのが、最近は住んでいる地域の水害リスクに応じて保険料が変わる仕組みを取り入れている保険会社が増えているという話を聞く。つまり、浸水しやすいエリアほど水災補償の保険料が上がりやすくなっている、ということ。

これ自体は保険としては筋が通った話だと思うんだけど、一方で「保険料が上がるから水災補償を外そうかな」という判断をする人も出てきそうだなと感じる。気持ちはわかるけど、保険料が上がるということは、それだけ保険会社側もそのエリアのリスクを高めに見積もっているということでもある。値上がりを見て外すのか、値上がりを理由に備えを厚くするのか、ここは人によって考え方が分かれるところだと思う。

契約更新のタイミングは見直しの好機

火災保険は基本的に契約期間が決まっていて、更新のタイミングで内容を選び直すことができる。何年も前に不動産屋さんに勧められるがまま入って、それっきり中身を見ていない、という人も少なくないんじゃないかと思う。

引っ越しのタイミングや、更新のお知らせが届いたタイミングは、水災補償が入っているか、免責金額はいくらか、保険金額(建物や家財の評価額)は今の実情に合っているか、を一通りチェックする良いきっかけになる。防災グッズや非常食のストックを見直すのと同じ感覚で、保険の中身も定期的に棚卸ししておく、ぐらいの気持ちでちょうどいいのかもしれない。

更新のお知らせ、正直ほとんど流し読みしてしまう気持ちもわかる。でも「水災」の欄だけは、次に届いたときに一度チェックしてみようと思う。

いざという時の請求、意外と大変らしい

もし実際に被害にあった場合、市区町村が発行する罹災証明書の取得や、被害状況の写真・動画の記録が大事になってくるらしい。水が引く前に、浸水した高さがわかるように部屋の柱や壁にメジャーを当てて撮っておく、床上のどこまで水が来たかがわかるアングルで撮っておく、みたいな話もよく聞く。片付けを急ぎたくなる気持ちはすごくわかるんだけど、まずは記録を残してから、というのは頭の片隅に置いておいて損はないと思う。

免責金額(自己負担額)が設定されている契約もあるので、「補償対象ではあったのに、損害額が免責額を下回っていて保険金が出なかった」みたいなこともあり得る。逆に免責のない契約であれば、少額の損害でも申請できることもある。この辺の細かい条件は本当に契約によって違うので、最終的には自分の保険証券を見るか、契約している保険会社・代理店に直接確認するのが一番確実だと思う。あと、保険金の請求には期限があるので、被害にあったらできるだけ早めに保険会社へ連絡しておくのが無難そう。

保険会社に連絡するの、なんとなく腰が重くなりそうな場面だけど、まずは電話一本からでいいらしい。一人で抱え込まずに、早めに一報しておきたい。

さいごに

火災保険という名前のせいで、水害への備えとして意識されにくいのはもったいないなと思う。すでに払っている保険料の中に、実はちゃんと水災への備えが含まれているかもしれない。逆に、含まれていないかもしれない。

どちらにしても、「知らなかった」で終わらせるより、証券を引っ張り出して補償内容を確認してみる。今日思い立ったタイミングでいいから、それだけでもやっておくと、いざという時の安心感が全然違う気がする。梅雨や台風のシーズンが来る前に、一度チェックしてみてはどうだろうか。

ちなみに、証券がどこにあるかわからない、契約した保険会社の名前すら曖昧、という状態だとそもそも確認のしようがない。まずは証券や契約のお知らせメールを探すところから始めて、内容がよくわからなければ、契約している保険会社のコールセンターや窓口の担当者に「水災補償は付いていますか」と一言聞いてみるだけでも十分だと思う。専門用語を全部理解する必要はなくて、「自分の家がどこまで守られているか」を知っているかどうかが、いざというときの心構えを大きく変えてくれる気がしている。

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