「修学旅行で京都が選ばれなくなっている」という話を目にすることがあります。混雑や宿泊費を理由に、沖縄や北海道など別の地域へ移る学校が増えたともいわれますが、全国の学校が同じ理由で行き先を変えていると断定できる資料はあるのでしょうか。
京都市が公表した2025年の観光総合調査を見ると、京都市を訪れた修学旅行生は前年より減っています。ただし、出典不明の行き先ランキングだけで「京都離れ」と決めつけるのは正確ではありません。公式統計で確認できることと、確認できないことを分けて見ていきます。
京都市を訪れた修学旅行生は約67万人
京都市の「京都観光総合調査 令和7(2025)年」によると、2025年に京都市を訪れた修学旅行生の実人数は669,834人でした。2024年の749,632人に対して89.4%で、約8万人減った計算です。
延べ人数は2025年が1,133,696人、2024年が1,178,102人で、前年比96.2%でした。実人数と延べ人数で減少率が異なるため、「人数」「宿泊日数」「延べ宿泊」のどの数字を比べているかにも注意が必要です。
「京都離れ」と言えるのか
2024年から2025年に修学旅行生が減ったことは、京都市の統計で確認できます。しかし、1年間の減少だけで長期的な傾向や、全国の学校の判断をすべて説明することはできません。
京都市の修学旅行生数は、感染症の流行や学校数・生徒数、宿泊施設の受入状況、旅行費用、行程の組み方など、多くの影響を受けます。調査方法の変更により、単純比較できない年があることも京都市資料に記載されています。
したがって、正確な表現は「2025年は前年より減った」であり、「全国の修学旅行が一斉に京都から沖縄や北海道へ移った」とまでは確認できません。
減少の背景として考えられること
京都市観光協会の2025年データ年報では、市内主要旅館で、修学旅行の収容人数減少などに伴って日本人の延べ宿泊数が減少したと説明されています。また、平均客室単価は前年より上昇しました。
混雑も無視できない課題です。同年報では、京都の混雑に関するXへの投稿が前年より増えたと報告されています。ただし、実際の混雑だけでなく、報道によって「京都全体が混んでいる」という印象が広がった可能性も指摘されています。
これらは行き先を考える材料になり得ますが、個々の学校が京都を選ばなかった直接の理由を示すものではありません。学校は学習目的、予算、移動時間、安全性、受入施設などを総合して行き先を決めます。
参考:京都市観光協会「京都市観光協会データ年報(2025年)」
出典不明の行き先ランキングには注意
現在ネット上には、修学旅行先の順位や割合を紹介する記事が複数あります。しかし、調査対象が小学校か中学校か高校か、回答した学校数、調査年、複数回答の可否などが違えば、数字は大きく変わります。
数字を見るときは、次の点を確認する必要があります。
- 調査を行った団体と公表ページが明記されているか
- 調査年と対象学年が分かるか
- 学校数、生徒数、旅行件数のどれを数えたものか
- 全国調査か、特定地域だけの調査か
出典を確認できない割合を使って「京都は何位まで落ちた」と結論づけることは避けるべきです。
京都側も混雑対策を進めている
京都市と京都市観光協会は、観光快適度マップやライブカメラを使い、混雑する場所や時間を避けるための情報を発信しています。学校側も、訪問時間をずらす、中心部以外の学習先を組み込む、公共交通だけに集中しない行程を検討するなど、混雑を避ける工夫が可能です。
まとめ
京都市の公式統計では、2025年の修学旅行生の実人数は約67万人で、前年の89.4%に減りました。この点では「京都を訪れる修学旅行生が減った」という話には根拠があります。
一方、すべての学校が混雑や外国人観光客を理由に京都を避け、沖縄や北海道へ移ったと断定できる公的資料は確認できません。修学旅行先の変化を考えるときは、出典の明確な統計と、個々の学校の判断を分けて見ることが大切です。



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